ADHDな東大生のブログ

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例の過労死の件で

先日の話をまたぶり返すようだが、とある知人が件の過労死自殺の件であの程度の残業時間で死ぬのはどうかなーと思う、とSNSに投稿しているのを見て久しぶりに憤りを感じてしまった。

 

覚悟が足りないとか迷惑だとか言うけれど、激務に耐えられるかどうかは実際に働いてみないと分からない所もあるだろう。それに忙しさの度合いや雰囲気(パワハラがあるかetc)といった要素は部署や上司によっても違ってくるし、就活の段階でそれらを選べるわけでもない。

 

かくいう彼は学生だし(また働いてもないのに残業大したことないって...笑)、大学の周りでも激務な会社に行きたいという人は多いのだが、あえて強い言い方をすればちょっと想像力が足りないんじゃないかなと思う。

現にそういう会社に行った知り合いはもれなくSNSで仕事の愚痴を言ってるし、たとえ地味でもホワイトな会社に行った友人は、飲みの場でも自分の会社を誉める人が多かった。よほど仕事が好きな人は別だが、彼らを見ていると本当にイメージで会社は選んじゃいけないと実感する。

 

件の過労死自殺に関しては色々な意見があるのを見かけたし、勤務先の広告代理店を非難する向きもある。けど結局問題なのは、気軽に職業選択も転職もできない今の日本の環境や制度にあると思う。

 

会社は利害で動くのだから、いくら綺麗ごとを言っても会社が労働環境を改善する動機はない。ならばいっそ、学生側も過重労働を課す会社には就職しない、ブラックな会社はどんどん辞めていく、という風にキッパリと動けば、需要と供給の関係から会社にも労働環境を改善しようというモチベーションができるかも知れない。

 

けどそれも現実的ではない。現行の新卒一括採用制度の下では一度入った会社にずっと勤めるのが安定だし、転職市場の流動性も低くやり直しが利きにくい。それに学生側も出世したい、同期に勝ちたいというモチベーションがあるので(例えるならゲーム理論囚人のジレンマやチキンゲームに近いだろうか)我こそは長時間働こうと意気込む人も多い。だから互いに協力して長時間労働の是正へ働きかけようという行動には向かわないし、同期を見ててもそう感じる。

 

将来は比較的長時間労働を嫌う人が多い今の世代がトップになって、そういう方向の意識が醸成されるかもしれないけど、それまでは残念ながら今回の悲劇も繰り返されるように思えてならない。働き方改革の下、過労を防止するための規制や法律を国が率先して作ってくれるならいいが、果たしてそう上手くいくだろうか。

 

だから今のところは、個人レベルで自衛意識を持って、できるだけブラックな場所を避けたり、会社に依存しなくて済むよう将来の転職に困らないスキルを磨いておくしか手がないように思える。自分も市場価値の高い資格の勉強をしたり、海外就職も考えたりと視野を広く持っておきたいところ。